貿易の達人

第一部 貿易とは(基礎編)

第12章 貿易のプロとアマの違い

			
		
国外商品の取引を通じて儲けること、		
これは貿易事業で稼ぐこということです。		
		
但し、国内取引には無い難しさがあります。		
それは、国内取引には無いリスク(危険)が		
がたくさんあるからです。		
一方で、リターン(見返り)も大きいです。		
例えば、輸入貿易の場合、30%~60%の利益が		
見込めます。		
		
それでは、貿易事業でどうやって、		
そのような高い利益を得ているのでしょう。		
それは、事業主が貿易のプロだからです。		
貿易事業に精通しているからです。		
貿易の素人(アマ)には真似ができません。		
		
貿易のプロとアマとは何が違うのでしょう?		
		
まずは、他の業界でのプロとアマの違いと		
ほとんど同じです。		
プロは結果第一です。		
一方、アマチュアの世界では、必ずしも結果		
だけではありません。		
		
アマチュアの世界では		
「参加することに意義がある」という		
有名な言葉があります。		
そして、結果が悪くても日々の		
生活への影響はあまりありません。		
		
プロの場合は、それが本業ですから、		
日々の生活に直結しています。		
それだけ、ハングリーということです。		
プロは命がけで仕事をしています。		
アマは趣味で仕事をしています。		
		
一方本業でない、アマの世界では、		
結果より、その活動をすることで		
いかに楽しめたかということになるのです。		
		
結果第一主義が、プロの世界です。		
貿易の場合、担当の貿易事業活動での結果、		
利益がどのくらい出せたかどうかが		
評価の基準となります。		
目標を達成すれば、プロとしては合格です。		
目標額を下回ればプロとしては不合格です。		
		
もちろん、参加することも、その過程も大切です。		
但し、それは、結果の次に大切なことです。		
結果が悪ければ、プロとしての良い評価は		
得られません。		
		
一方、アマチュアの世界では、		
目標が達成できなくても評価は得られます。		
もし、参加することそのものが目標の場合、		
参加できた時点で、満足することが		
できるからです。		
		
また、プロとアマの決定的な違いの中に		
その処理速度があります。		
		
例えば、貿易のプロの世界では、最低必要な		
技能として、通常、外国語能力は必要です。		
そして日常的に海外の取引先に連絡する		
必要があります。		
		
この時、一つの通信文が届いたときに、		
その処理は高速で行わなければなりません。		
もし、一つの通信文に対してその返答を		
翻訳するのに、30分以上も要したとしたら		
プロとは言えません。		
(内容の確認作業の時間は除きます。)		
		
貿易のプロの世界では、時に一日何十通もの		
通信文を海外へ発信することは、		
よくあることです。		
		
翻訳する時間よりも、その処理をするために		
社内部署や社外の取引先との確認作業の方が		
時間を要します。		
単純な通信翻訳に手間をかける時間は		
ほとんどありません。		
		
プロと言える人はその担当業務に対する		
速度が、圧倒的に速いのが特長です。		
一方、一般にアマはその速度が遅い場合		
が多く、その差は歴然としています。		
		
それでは、どのくらい速ければプロで		
どのくらい遅ければアマなのでしょうか。		
これは、ケースバイケースです。		
一概には言えません。		
筆者の経験値で言うと最低2倍以上、		
業務内容により10倍以上差がある時		
もあります。		
		
プロが高速で処理できる理由は、		
その業務の高速回路ができあがっている		
からです。		
これは、多くの経験と学習による積み重ね		
によるものです。		
		
一つの貿易作業の必要が発生した時に		
最短時間で精度を損なわずにやる回路が		
頭にできあがっているということです。		
		
具体的な事例を挙げましょう。		
		
もし、ある取引の件ですぐに返答ができない		
ような難問を外国からの取引先から受けた		
場合に、どうしますか。		
外国の取引先は、どうしてもその返答が		
当日中に欲しいと言ってきています。		
		
一方、当方の事情で、国内の取引先や社内		
の他の部署との調整が必要です。		
そのためその返答には、数日が必要です。		
例えば、この件が当方から納期の返事、		
或いは価格の値引きの問題と仮定します。		
		
この場合の対処法は主に二つあります。		
一つは、正直にその状況を伝えて数日		
待ってももらうこと。		
		
もう一つは、その難問の中に潜んでいる		
こちらからの疑問点や提案できる点を		
逆に投げかけるということです。		
直接、すぐに返答できないことは明白です。		
しかし、その返答時間を早く得るための		
情報を得るために、逆に質問を投げ返す		
ということです。		
		
例えば、注文数量を増やしてもらえないか		
或いは、逆に減らしてもらうことができるか		
同等仕様の代品での納品でも可能かどうか		
などの質問をするということです。		
		
このような質問をすることで、		
①まず、当日に返答したことになります。		
②当方からの提案が含まれているので		
  相手は検討せざるを得ません。		
③その分時間稼ぎもできます。		
④うまく行けば、最初からオプション		
  付きの条件提示をしているので、		
  実際に、その交渉がうまく行く		
  可能性もあります。		
⑤もし、そうなったとしたら、		
  国内取引先や社内部署の返答も		
  より早くできることでしょう。		
		
これは、一つの事例です。		
プロはいろいろな案件に対して、		
その答えを引き出す経験が豊富です。		
解決するための「引き出し」が多いのです。		
		
筆者の実体験をご紹介しましょう。		
		
ある高価な機械を海外の取引先に販売。		
油漏れのクレームが生じました。		
ユーザーの技術では解決できないので		
メーカーの技術者が派遣されました。		
10年以上経験のある技術者です。		
丸二日間その修理に挑戦しました。		
しかし残念ながら、解決できませんでした。		
		
そこで、メーカーは別な技術者を		
再度派遣しました。		
20年以上経験のある技術者です。		
今度は解決できました。		
その修理に半日もかかりませんでした。		
		
その違いは、その油漏れの原因を		
10年経験技術者が見抜けませんでした。		
20年経験技術者はすぐに見抜きました。		
それは引き出しの多さの違いです。		
		
プロは、そのような問題解決の引出しを		
豊富に持っています。		
20年経験技術者は、現場に来てすぐその		
状況を見抜いたのです。		
10年経験技術者は見抜けませんでした。		
		
筆者は、その20年経験者に聞きました。		
なぜ、あなたにはすぐに見抜けたのか。		
		
「以前、その機械の生産ラインでの仕事を		
したおかげで、その機械については熟知		
していた。」		
		
「そしてこのような油漏れの原因は		
機械保守専門の技術者でも見抜けないこと		
も知っていた。」		
		
「また、マニュアルにも載っていないので。」		
ということでした。		
		
このように、本当のプロの世界では、		
10年も経験してもプロとは言えない		
ことが起きるのです。		
		
アマは、決定的に経験が不足しています。		
引き出しが少な過ぎるのです。		
そして、それは速度の違いにも表れます。	

従って、貿易のプロになるには時間が
かかります。それを最短の時間でやろう
というのが、この講座の目的です。

最短で貿易のプロになる方法が二つあります。

一つは、充分に学習期間、経験期間を
得て、貿易事業の技術を身につけることです。

もう一つは、貿易事業として一番大切な
部分のみを鍛錬し、その技術を見つけるが、
それ以外のところは、プロのサービス機関や
ツール、ソフトウエアを利用することです。

本講座では、後者を選択しています。

その理由は、一つ目の方法では時間が
かかり過ぎるからです。

二つ目の方法は、数ヶ月から1年以内には
貿易のプロになることができます。

但し、いろいろなサービスの機関やツールを
使う場合でも、その基本的な内容や
違いなどを学習、経験する必要はあります。

そして、時間のある方は別途、本講座でも
紹介して行く予定の専門書をお読み下さい。

13.最速で貿易事業の達人になる秘訣-1-

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