貿易の達人

第一部 貿易とは(基礎編)

第11-2章 貿易しないと損する四つの要因

本章では、「なぜ貿易をしないと損をするのか」
をテーマに、その主な四つの要因を以下、
ご紹介します。

その1:
「国内市場だけでは、いずれは損をする。」
日本は今後も人口が減少することは周知の
事実です。その対策も不十分です。
そして、現在の日本国民の平均年齢は既に
46歳となっています。

2020年に49歳となる予測データも
あります。
そして、人口は2040年に1億人を下回る
との予測もあります。
25年後には、現在の人口の20%も減少、
そして、平均年齢は54歳となる見込みと
なっています。(2040年)

日本人だけを相手にした事業は、もはや
伸びる要素は限りなく減るということです。
実際に、例えば、バイク市場においては
日本の四大メーカーで世界市場の40%以上
を占めるほどです。

しかし、日本市場での販売の割合は5%も
ありません。
日本のバイクメーカーはそのほとんどを
海外市場で稼いでいるのが現状です。
そしてこの傾向は益々顕著になるでしょう。

国内市場のみに頼る場合、どの産業もいずれ
過当競争に陥り、廃業が続出する運命にある
と予測できます。
もちろん、高齢者をターゲットにした市場は
伸びるでしょう。ただ、高齢者市場だけでは
他の産業を支えるのには無理があります。

政府もさまざまな対策を講じることでしょう。
しかし、移民を大幅に認める政策を進めない
限り、人口を増やすのは無理でしょう。

そこで、今後、二つのケースが考えます。
①移民などが大幅に認められ、人口の減少が
ある程度抑制される、又は増える場合。
②そのまま人口が大幅に減少してしまう場合。

①の場合、在住外国人が大幅に増加します。
このケースでは、輸入品の増加が予想され
ます。
その理由は、外国人は自国の分化や習慣に
よる外国の商品の求めるため、必然的に
輸入商材が増えるということです。

日本人が好む輸入品ではなく、外国人が好む
輸入品が増えるという意味です。

②の場合、国内企業は輸出貿易抜きには、
事業が成り立ちません。国内需要が劇的に
減少して行くからです。輸出事業無しに
企業経営することは不可能になるでしょう。
又は、海外に事業の拠点を移さざるを得ない
かもしれません。

従って、輸入や輸出の事業をすることを考え
ない企業は、「損をする」というより「淘汰」
されることになるかもしれません。

これは、企業に限らず、個人の場合でも同様
の事態に発展するものと筆者は予測します。
個人でも輸出や輸入するなどの副業を考え
べきでしょう。
国内企業に従事する仕事も激減する可能性
が高くなるからです。

いずれにせよ、国内市場に依存する時代は
既に終わりを告げたということです。
幸い、今は個人でも輸入・輸出する環境が
あります。例えば、
インターネットを利用した販売事業です。

いずれにせよ、近い将来を考えて、貿易事業
を行うことは将来リスクの回避のための方策
となることは間違いないでしょう。

その2.
「為替変動による損失をかぶる。」

今、輸入貿易しかしていない輸入商社は
今後、輸出もすべきです。
その理由は、為替変動に対してのリスク回避
がやり易くなるからです。
また、新規市場の開拓にもなります。

一方、輸出貿易しかしていない輸出商社は
今後、輸入もすべきです。
その目的は、為替変動に対してのリスク回避
です。
また、新規市場の開拓にもつながります。

片方だけの貿易事業では為替変動リスクを
軽減することは困難です。
例えば、円安の場合、輸入商品はすべて高く
なります。一方、輸出商品は、安くなるので
販売がしやすくなります。

為替予約やオプション取引などを利用すれば
ある程度の為替変動による損の回避は可能
ですが、限界もあります。
しかし、両方の事業をしている場合は、
その時の為替の変動具合に応じて優先する
事業を調整することでしのげるのです。

貿易を全くしていない場合はどうでしょうか?

この場合でも、実は為替変動による損を
しています。
円安の場合、まともにその影響を受けて
輸入品を高く買うことになります。
円高の場合でも、通常、輸入商社はすぐに
値下げを行うことはしないので、やはり
高く買うことになります。

その3.
「自社品の売行予測を間違えて損をする。」

貿易をしていない場合、世界市場で見た場合
の自社商品の位置付けが分かりません。

しかし、常時貿易事業をしているケースでは
世界市場における商品の価格を客観的に
いつも注意して見る習慣が身に付きます。
自社商品が今本当に安いのか高いのかの
判断もできるようになります。

急激な円高で輸入品の方が国産より圧倒的に
安くなった場合、海外輸入品との価格差を
すぐに気がつくことはありません。
普段輸入品を取り扱っていないからです。
その結果、輸入品との競争に負けて大きな
損害となるということです。

その4.
「儲ける機会を逃すことで損をする。」

貿易事業をしないことにより、下記の様々な
機会損失をすることになります。
①
「自社商品の改善、新商品開発に遅れる。」
海外商品を取り扱うこと、または自社商品を
海外に売り込むことが、自社商品の改善に
つながります。或いは新商品の開発を促進
することにもなります。

即ち、海外との取引を実行しないため、その
ような機会損失をすることになります。
例えば、半製品で海外仕入て国内で加工して
準国産品として販売することで利益を上げる
こともできます。

或いは、その逆のケース、国産品を半製品
として販売することも可能です。
革新的な技術は海外の方が圧倒的に多く、
その国の事情に合わせてさまざまな製品が
販売されています。

②
「海外の販売形態、ビジネスモデルを真似る
或いは、参考にして新しいビジネスモデルや
販売形態を創造する機会を失っている。」

海外では国内では信じられないような
変わったビジネスモデルや販売形態が存在し
ています。
例えば、未だに台湾では「夜市」が各都市に
あり、個人商が路上でおもちゃから子供服、
靴などが販売しています。

かっては、駅周辺や映画館の前など人の
にぎわう場所では、金色や銀色のタバコ
ケースが路上で売られていました。
これを見て、実際に夜市の場所を確保して
現在も商売をしている日本人の企業家も
いるほどです。

貿易をすることで、当然、海外に行く機会が
増えます。
例えば、海外の展示会に、海外の取引先に
行く場合があるからです。
その時に、現地をよく視察してみて下さい。

国内には無いビジネスモデル、販売形態を
発見できるはずです。
国内にいるだけでは、そのような発見は
難しいでしょう。

③
「海外の人材を得る機会を失っている。」
海外には優秀な人材を多く発見できます。
しかし、貿易をしていない企業はそのような
海外の人材を発掘できる機会は少ないと
言えるでしょう。

海外取引先の人材と交流することにより
その可能性も高くなります。
前述したように、いずれ海外の人材との交流
抜きにはこの国の将来はありえません。
移民が大量に訪れる時期が来ることが予想
されるからです。

もし、そうならなかった場合でも海外へ拠点
を移すことになるでしょう。
そのようなケースを想定すると外国人を雇用
できる体制づくりは不可欠となってきます。
海外の人材を発掘・養成する機会を貿易
することで失わないようにすべきでしょう。

④
「海外との事業提携を行う機会を失う。」
例えば、輸入商社として海外の製品の総代理
店をしている場合、その製品を供給している
企業と本格的な事業提携をできる機会が
訪れる場合があります。

もちろん、すぐにはそのような機会が来る訳
ではありません。
何年かおつき合いを継続している内に、
お互いの長所短所を確認しつつ、信頼関係が
醸成されてからの話です。

貿易事業をしない場合、そのような機会が
来ることはまずありえないでしょう。

筆者も実際にそのようなケースを多々見て
参りました。
国によっては、海外からの進出企業の資本が
49%までしか認めていない国もあります。
そのような場合、その国に進出したくても
強力なコネ、安心できる提携先がなければ
進めることができません。

貿易事業を継続することでそのような機会を
多く生むことが可能です。

12.貿易のプロとアマの違い

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