第9章  貿易リスクとリターン	
	
国外商品の取引を通じて儲けること、		
これは貿易事業で稼ぐこということです。		
		
但し、国内取引には無い難しさがあります。		
それは、国内取引には無いリスク(危険)が		
がたくさんあるからです。		
一方で、リターン(見返り)も大きいです。		
輸入貿易では、30%~60%の利益が		
見込めます。		
		
リターン=利益が高く見込める		
理由は、国外商品を販売する輸入者は		
国内のメーカー的な立場で販売が可能		
だからです。		
		
国内の卸売商社では、輸入者のような		
高い利益を得ることはできません。		
国内でメーカー的な立場でふるまうのは		
困難だからです。		
		
国内では、一般消費者も小売業者もメーカー		
からの情報を簡単に得ることが可能です。		
一方、国外のメーカー情報はなかなか		
得ることができないからです。		
		
言葉の壁や、輸入者がメーカー名を伏せる		
ことができるのが、その原因です。		
		
但し、輸入者はメーカー的な位置を維持		
するためのリスクを負うことになります。		
例えば、製造物責任のリスクです。		
国内の消費者が輸入品の不良による		
事故が発生した場合、製造者が国外の場合		
輸入者がその責任を負うことになります。		
		
そこでP/L保険と呼ばれる保険に輸入者は		
加入することとなるのです。		
		
製造物責任以外のリスクとしては、		
下記のことがあります。		
		
①為替変動リスク		
 外国通貨の変動に伴うリスクです。		
 自国通貨がより弱い時に仕入れると高く		
 なります。例えば、円安状態の時です。		
 見積り時は円高でも、代金支払い時点で		
 円安の時、その差額分が高くなります。		
		
②発注数量リスク		
 少ない発注数量では、国外の製造者や		
 供給者はなかなか相手にしてくれません。		
 見本や初期の試し注文以外では、通常		
 1品目当たり100個~1000個以上を要求されます。		
		
 このため、在庫リスクが高くなります。		
 1品目当たりではなく、1出荷単位での		
 最低発注量が要求される時もあります。		
		
 1品目あたりの最低発注量は100個、		
 1回の船積み数量は最低300個とする		
 場合です。		
		
③品質不良リスク		
 仕入相手国やその企業規模によっては、		
 品質が非常に悪い場合があります。		
 この場合でも、事前の品質基準が買う側		
 と売る側で不明確な場合は、その責任を		
 買う側=輸入者が負わなければならない		
  時があります。		
 必ず、見本・写真・図面・仕様書などで		
 確認するようにしましょう。		
		
④言語単位リスク		
 言語や単位の違いによるリスクです。		
 国によって、基本となる単位が		
 違う場合があります。		
  例えば、メートルとヤードの違いです。		
 1ヤードは、0.936メートルです。		
		
  電気で作動するような機械の場合、		
 その電源仕様が、100Vと200Vで		
 違う場合があります。		
		
 国外とのやり取りを、外国語で行う		
 ことで発生する誤解リスクもあります。		
 言葉の解釈の問題です。		
		
 例えば、「理解した」という言葉と		
 「承諾した」という言葉では、意味が		
 違います。		
  しかし、場合によっては、「理解した」		
 ことが、「承諾した」との意味と		
 して解釈される場合があることです。		
		
 くどいようでもそのあたりの補足説明が		
 必要な時があります。		
		
⑤通関リスク		
 輸入した商品がすぐに受領できないリスクがあります。		
 国外の現地で輸出規制されている商品もあります。		
 国内では把握しにくい情報です。		
 時には、国外の輸出者も知らないケースもあります。		
 この場合、大幅に納期が遅れることがあります。		
		
 実例を挙げます。		
		
 バッテリーです。突然、ある国からの		
  輸入ができなくなりました。		
 その国が突然規制強化をしたからです。		
 この時期、国内中のどの業者も一時的に		
 この国からのバッテリーが輸入		
 できなくなりました。		
		
 その期間は数ヶ月に及びました。		
  このような危険物扱いの商品には		
 特に注意が必要です。		
		
 この例は、輸出国の規制による		
 輸出通関時のリスクです。		
		
 それ以外に、輸入通関時のリスクも		
 あります。		
 このケースがより多いと言えます。		
 書類不備の場合が多くあります。		
 例えば、下記の書類が不足している		
 場合です。		
		
  ・原産地証明		
  ・化学物質安全データシート		
  ・輸入許可証		
  ・ノンアスベスト証明		
		
⑥運送リスク		
  海上運送中の船の事故などがあります。		
  これは主に海上保険によりカバーします。		
  但し、梱包状態が悪い場合、商品が破損しても		
  保険金が出ない場合があります。		
  または、期待した金額より少ない場合が		
  あります。		
		
  万一を考え、特に高額な商品の場合は、		
  積込み前の写真を撮影してもらうように		
  しましょう。		
		
  金額が大きい場合、保険会社は減額		
  する理由を探しています。		
  輸入者から輸出者に依頼して、		
  商品の梱包状態を記録に残しておく		
  ことをおすすめします。		
		
  コンテナに積み込むような場合、		
  いかにきちんと固定させたのかを		
  確認するためです。		
		
  尚、輸入者からは輸出者に対しては		
  出荷指図書を発行して送付することです。		
  その中に特に下記のことを明記すべきです。		
		
  まず、到着港の指定です。		
  例えば、神戸港と指定します。		
  そして、指定していない港で荷物が届いた		
  場合は、その責任は輸出者側にあると		
  特約を交わします。		
		
  その上で、万一、神戸港ではなくて、		
  大阪港に到着した場合、余分に発生した		
  費用は、輸出者負担とするということです。		
		
  このような特約を結んでおかないと、		
  稀ですが、このような事態が発生した時		
  輸入者が損をする場合があります。

10.貿易の原価計算

貿易の達人メニューへ戻る